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「そういえば罰ゲームはどうするんだい?」


手札から視線を上げると、発言した張本人は額に皺を寄せ己の手札を食い入るように見つめていた。
目の前の場札には黄色の4。僕の出したカードだ。
そやねぇといつもの調子で微笑み、指先で自分の手札を軽く弾いた。

「せっかくやし、面白そうなことしたいもんなぁ」
「3回まわってわんは嫌だよ」

どうして?と聞こうと思ったが、すぐ考え直して止めた。
どうせ聞いたとしても、やれ異界が開くだのやれ仲間の暗号だの言って、長々と手が止まってしまうだろう。もちろん、実際はただ単純に恥ずかしいだけなのだろうが。
それはそれで面白いし不満はないのだが、せっかくこのゲームが楽しくなってきたのだ。さっさと次のカードも出して欲しいし。


「なら、ねむ君の好きなアニメの名台詞でも言おうか? 目がー目がーとか」
「今の時代は洋画さ! と言いたいところだけど、それもなぁ…」


やけに歯切れが悪い。
まぁ、既に手詰まりであろうのは、彼の表情が物語ってる。
毎度のことだが、長年お付き合いでよく思う。
本当に顔に出やすいタイプだ。


「おーけー。ほな、コレ勝ち負け決まってから決めよ?」


唇を尖らせつつ、そうだねと頷くお辞儀草。
罰ゲームはなしと言い出さないあたり、お互い負けん気が強いのかもしれない。
まぁ、僕だって見るのが楽しみなのだ。今日はそんな気分なのだ。

呆然と立ち尽くす君の表情が見たいから





***


「ふっふっふ、僕の時代キタ━━━(゚∀゚)━━━!! DrawTwo!」
「Drawfour返しー」
「アーッ」


着々と減り、細々と増える手札。減らして増やされ増やさせて引かせて。
わりと長時間やっているなと思うと、ついに僕の手札が残り2枚となった。
机上に置かれているのは青の0。
ちらりと自分の手札を確認する。そして「お。」と軽くつぶやいた。
そしてあくまでも通常通りに、しかし堂々とカードを置いた。


「UNO」


机上に置かれたのは緑の0。僕の手札は残り1枚のみ。
思わず声を強めそうになってしまう。
なんとも形容出来ないこの動悸。純粋にわくわくしていた。
お辞儀草の手札は5枚。
「僕は噛ませ犬にはならない!」とよくわからないことを言っているが、無自覚に既に罰ゲーム体制なのが、色んな意味で流石だと敬意を賞したい。

次に、彼はまた思案するようにカードを摘み、そして考えた結果なのだろう。
彼は机上にカードを置いた。

Wild。

同時に、彼は事もなさ気に「黄色」を宣言した。


勝ったと。
僕は手札の黄色いカードを机上に置いた。


「僕の勝ち」


いつもどおりの、それでも笑みを深めて言い放った。
満足気な表情の僕にお辞儀草が目を見張る。

そしてお辞儀草が僕の予想通りな表情を浮かべ――なかった。

あれ?と、彼の顔をのぞき込むと、彼も不思議そうな表情をしていた。
そしてしばらく考えた後、ぽんと何か納得したように頷き、山札から二枚抜き取ると、そっと僕の方に差し出した。


「はい、記号カードだからお手つき」
「あ。」


机上に置かれていたのは黄のReverse。
この場合は二人だからお辞儀草は一回休み。
しかし、ローカルルールでは最後に数字カード以外は残せないという物はないが。……これを提案したのは僕だ。
阿呆だ。色だけで勝ったと思い込んでいた。
一瞬自分の間抜け具合に叱咤したくなったが、それでも相手には4枚もカードがある。まぁ、そうゆう事もあるだろうと、勝つ見込みはまだまだある。
本気で取り乱すようなことではない。所謂ゲームゲーム。

あーあと僕は態とらしくため息をついて、彼に肩を竦めてみせた。


「残念やわー。勝ったと思うてたのに~」
「残念だったね!」
「せやねー」


お辞儀草は一回休みで次は僕の番。
しかし、自分の手札は赤の3、青の7。もちろん僕は置けない。仕方なしに山札から一枚引くと青の9。
完全にループに入ってしまった。
少し不貞腐れる。


「ほな、お次どーぞ」


それでも彼にはのんびりと促す。お辞儀草は首を傾けたがすぐにこくりと頷いた。
そして、己の手札4枚すべてを広げ場札に置いた。

黄色の5、赤の5、青の5、そしてもう一回黄色の5。

綺麗に並列する4枚の5。



「僕の勝ちだよ」


そう言った彼の表情は、見逃してしまった。

あっけらかん。
ふざけた言葉だけど、真面目な話そのとき僕は思考が停止していたのだ。

正義は勝つだのなんだの吐かして喜んでいるお辞儀草に、もしかして噛ませ犬は僕に向かって言っていたのではと、そう思った。
そもそもなんで綺麗に残してあるんだよと。他に置くタイミングは間違いなくあっただろうに。

あぁ、そうだ。
長年の付き合いなのに毎回忘れてしまう。
彼は顔に出やすいが、頭の真髄は先が読めないのだと。
彼の表情が全て正しいとは限らないのだ。


「じゃあ、罰ゲームはどうする?」


本気で嬉しそうに顔を綻ばせるお辞儀草。
果たして、この表情は純粋な喜びなのか。
はたまた、優越に浸る嘲笑なのか。

自分の残った手札に目をやる。
そして使えないカード達を放り投げた。


「やってられへん」


カードは場札の上に落ちなかった。







「これっていつ終わんの?」
「わかりません~~」

横では両者合わせて3枚の手札で頑張っている、蒲公英と水仙がいた。
ついでにあっちはババ抜き。
アホか。







(´∀`*)
本当に何なのでしょうこの可愛らしさ(´∀`*)
御辞儀草君と仲良くさせていただいて光栄です(*´ω`*)
大事なところはきっちり取る御辞儀草君にほれぼれ。
蒲公英君と水仙君のばば抜きにもなごなご。
ありがとうございました!
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